二〇〇七年 文月 廿五日 水曜日■ big picture [/language]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 今日、こんな誤訳を見つけた。 (原文)visualizing the big SAN picture (誤訳)巨大なSANの状態を視覚化して (訳例)SANの全体像を視覚化して 英語でも日本語でも、慣用句や慣用的表現が多い。この場合は "big picture" が「全体像」「大局観」などの意味だ。だが、あいだに "SAN" がはさまっているために、これが熟語であることに気がつかなかったと見える。それにしても、ワイド画面は広くないの記事でも書いたように、ネットワークの大きさを表すのには big ではなく large を使うのが普通だから、この場合の big は SAN ではなく picture にかかると考えるのが自然だ。 しかし、この場合は原文が悪いとも言える。文法的には "visualizing the big picture of the SAN" と書かなければおかしいし、そもそも特定のネットワークの状態について big picture という表現を使うのは英語として不自然だ。"the big picture of the SAN" と言えば、通常は「SAN という概念についての概要」という意味になる。ところがここでは、文脈からいって、「特定の SAN についての全体像」と言っているつもりなのだ。 原文の品質が低ければ、訳文の品質が低くなるのもある程度は仕方がないかと思う。まあしかし、そこを何とかするのがプロだろうと思わないでもない。 [この記事だけを読む。] [最新の記事を読む。] 二〇〇七年 水無月 四日 月曜日■ ブルームーン [/language]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 月の満ち欠けの周期は約29.5日。一方、1月の長さは、2月を除けば30日ないし31日。そのため、まれに、1月に2回満月を見れることがある。実は今月も、1日と30日の2回、月が満ちる。なお、前回は2004年8月、次回は2010年1月だ。(いずれも日本標準時の場合。) このような、月に2度目の満月を、英語で blue moon と言う。つまり、この次の満月が blue moon だ。なお、アメリカでは前回の満月が5月31日に当たるので、それが blue moon だった。 なぜ「青い月」なのか、調べてみると、この言葉には複雑な歴史があるそうだ。 簡単にまとめると、まずは文字通り「青い月」という意味で使われ始めたのだが、それとは別に、1つの季節(3か月)に4回満月がある場合の3回目を Blue Moon と言っていたのを、誰かが月に2度目の満月だと勘違いし、その勘違いが広まった、ということだ。 [この記事だけを読む。] [最新の記事を読む。] 二〇〇七年 皐月 卅一日 木曜日■ 順横方向と順縦方向 [/language]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 プリンタの製品情報を翻訳していたら、こんな文があった。 Scalability, contrast, background removal, sharpness, N- or Z-ordering, orientation これを書いた人の母国語は英語ではないらしい。英語ネイティブなら、こんな変な英語は書かない。が、変な英語でも、仕事とあれば訳さなければならない。 "scalability" というのは通常、あるシステムが容易に拡張可能であることを表す。その場合は「スケーラビリティ」と訳すのだが、この場合、「コントラスト」や「背景除去」と並んでいることからして、システムの特徴ではなくコピー機能の1つであるに違いない。そうなると、「スケーラビリティ」と訳すわけにはゆかない。原文著者の意図を慮るに、「拡大縮小」と言いたかったのだろう。 問題は "N- or Z-ordering" だ。コンピュータの画面上で複数のオブジェクトが重なっているときに、どれが手前でどれが奥にあるのかを表す順番を Z-order と言うことがあるので、紙を重ねる順番に関係があるのかとも考えたが、それでは N-ordering が不明だ。 Google で検索をしてみると、もう1つ別の Z-order が見つかった。空間充填曲線を使って、多次元配列を1次元配列に変換するというものらしい。これは N-order とも言い、また Morton order とも言うそうだが、N- と Z- で意味が同じというのでは、"or" でつながっている意味がなくなってしまう。それになにより、これがコピーに関係があるとは思えない。 さらに調べてみると、なぜかフィンランドのサイトに、同系列の製品のユーザガイド(PDF)があり、その中に図解があった。1枚の紙に4ページをコピーするさい、ページの順序を N の字(正確には N を逆さにした形)にするか Z の字にするかということだと分かった。意味が分かったところで、さてそれを日本語で何と言うのか、さらに Google で調べた。どうやら、"N-ordering" は「順縦方向」、"Z-ordering" は「順横方向」と言うらしい。 それにしても、Google によれば、"N-ordering"、"Z-ordering" をそれぞれ「順縦方向」、「順横方向」の意味で使っているウェブページは存在せず、検索に引っかかったのは PDF が1件だけだ。ということは、「順縦方向」、「順横方向」に相当する英語の表現で、より一般的なものがほかにあるはずだ。調べてみると、"column order"、"row order" という表現が見つかった。 [この記事だけを読む。] [最新の記事を読む。] 二〇〇七年 皐月 九日 水曜日■ ワイド画面は広くない [/language]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 今日、こんな誤訳を見つけた。 原文: 12.1" widescreen display 誤訳: 12.1インチの広い画面 確かに、"wide" には「広い」という意味があるが、ここではコンピュータの画面の話をしているので、12.1インチというのは、むしろ狭い部類に入る。それを「広い」と訳すのは、非常識と言わざるをえない。 "wide" というのは、本来的には「幅が広い」という意味で、"widescreen" も、画面が広いということではなく、画面が横長だと言っているにすぎない。コンピュータやテレビの画面は、以前は4:3と相場が決まっていたが、最近はそれより横長のものが増えた。それが widescreen で、「ワイド画面」「ワイドスクリーン」などと訳す。 英語で「広い画面」と言いたいときは、"large screen" が普通だ。"large" も "big" もどちらも「大きい」と訳せるが、large はどちらかというと平面的、big はどちらかというと立体的だ。"big screen" というと、画面が広いだけでなく、奥行きもあって、重くてかさばるので置き場所に困るように感じられる。 [この記事だけを読む。] [最新の記事を読む。] 二〇〇七年 皐月 七日 月曜日■ 防水・耐水・撥水・防滴 [/language]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 "waterproof" と "water-resistant" という言葉がある。どちらも「防水」または「耐水」と訳せるが、厳密に言うと意味が異なる。 "resistant" は "resist" の形容詞形で、「抵抗する」とか「耐える」という意味だ。つまり、"water-resistant" は、「水の浸入に抵抗する」という意味だ。ただし、抵抗した結果として侵入を防ぐかどうかについては、何も言っていない。つまり、water-resistant は完全防水とは限らない。 一方、"proof" を英英辞典で引くと "Fully or successfully resistant." とある。したがって、"waterproof" の場合、水の浸入に抵抗するばかりでなく、実際に水の浸入を許さないことが保証される。本来の意味での防水や耐水は waterproof ということになる。 この区別を日本語で訳し分けようとすると、難しい。"waterproof" を「防水」または「耐水」、"water-resistant" を「防滴」、「撥水」、「生活防水」などとすることがあるが、メーカーや販売店、業界などによってまちまちで、はっきりとした区別があるわけではない。「防水」といいつつ、実は water-resistant である製品も多い。 JIS では、防水の程度を0級から8級まで9段階に規格化している。まったく保護されていないのが0級、鉛直から落ちてくる水滴の影響を受けないのが1級(防滴I形)、水中での継続的な使用に耐えるのが8級(水中形)となっている。waterproof という意味での防水、つまり水の中に沈めても浸水しないものは、7級(浸水形)以上ということになるが、一般的に防水と謳われているものは、4級(防まつ形・あらゆる方向からの飛沫による有害な影響がない)程度であることが多いようだ。 [この記事だけを読む。] [最新の記事を読む。] |
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