二〇一七年 水無月 卅日 金曜日■ 折鶴に松図小柄 [/origami]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 7月発行予定の『折紙探偵団』に掲載すべく、「折鶴に松図小柄」について記事を書いている。8月の折紙探偵団コンベンションでも講義をしようと思っている。しかし、この史料は折り紙史研究の上で極めて重要なので、ここに概要を書いておく。 この小柄(こづか)は、豊臣秀吉に仕えた金工である後藤栄乗(1577-1617)の作と鑑定されている。したがって、1590年代に作られたことになる。これ以前に知られていた遊戯折り紙の史料は、1699年の雛形本や井原西鶴の好色一代男(1682年)が最も古かったから、遊戯折り紙の歴史がほぼ1世紀遡った。(平安時代に折り紙があったという説には根拠がない。) 後藤家は代々将軍家に仕えた装剣金工であり、この小柄も武家社会から出たものだ。従来、遊戯折り紙の起源は武家の礼法折り紙だっただろうと考えられてきたが、この小柄によって、礼法折り紙が町人に広がるより前に武家社会の中で遊戯折り紙が発生したことが確実になった。 さらに、この折り紙が松とともに彫られていることで、桃山時代にはすでにこれが鶴に見立てられていたことがわかる。 しかし、この小柄をよく見ると、いくつかの疑問がわく。横から見た折り鶴のデッサンが崩れているように見えるのはなぜか、栄乗は同じ図柄を何度も彫ることが多いのに、折り紙を彫ったものが1点しかないのはなぜか、そもそもなぜ鶴ではなく折り鶴なのか。 これらについて、折紙学会の顧問である岡村昌夫さんが見事な謎解きをしている。詳しくは、記事をお読みいただくか、コンベンションに参加していただきたい。マガジンはばら売りをしていないので、1期購読していただく必要があるが、折紙学会の図書館で読むこともできる。 |
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