blog.鶯梭庵

二〇〇六年 卯月 十二日 水曜日

古代日本語の色 [/language]

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古代日本語には、色を表す言葉は、アカ・アヲ・シロ・クロの4つしかなかったそうだ(例えば Wikipedia の「色」の項目を参照)。確かに、後ろに「い」をつけて形容詞を作れるのは、この4色しかない。

面白いのは、白の反対は黒ではなく青であり、黒の反対は白ではなく赤であった。「赤」は「アカるい」色、「黒」は「クラい」色を表す。「白」ははっきりした色、「青」ははっきりしない色を表す。今で言う黄色は「赤」と言っていたし、今で言う灰色や茶色は「青」と言っていた。

神道で使う垂(しで)が折り紙の起源ではないかと想像している人がいるのだが、垂は元来、木綿(ゆう)などの布で作るもので、後に紙を使うようになったのだから、折り紙の起源と関係があるとは思えない。それはさておき、「垂」は「幣」とも書き、「幣」は「にきて」とも読む。木綿で作った幣を白和幣(しらにきて)と言うのに対し、麻で作った幣を青和幣(あおにきて)と言う。麻布は、現代人の感覚から言えば決して青くないが、古代日本語では、白くないものは青かったのである。

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二〇〇六年 卯月 七日 金曜日

踏んだり蹴ったり [/language]

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先日、「負けず嫌い」はおかしいと指摘してくれた友人が、「踏んだり蹴ったり」もおかしいのではないかと言っていた。被害を受けたときに使うのだから、「踏まれたり蹴られたり」ではないかというのだ。

その友人が調べたところでは、初めは能動の意味で使われていたのがいつしか受動になったとか、悪い物を自分が踏んだり蹴ったりする意味とかという説があるそうだが、よく考えてみると、どちらの説も誤っていると思う。

「踏んだり蹴ったりだった」とは言えるが、「踏んだり蹴ったりした」とも「踏んだり蹴ったりされた」とも言えない。ということは、「踏んだり蹴ったり」というのは、動作を表す言葉ではなく、状態を表す言葉だ。動作でない以上、能動も受動もないし、自分が何かをするわけでもない。

「踏んだり蹴ったり」が状態だというのは、「踏んだり蹴ったりの目に遭った」または「踏んだり蹴ったりな目に遭った」という言い方があることからも分かる。これを「半殺しの目に遭った」「散々な目に遭った」などと比べてみれば、はっきりするだろう。「半殺され」と言えないのと同じように、「踏まれたり蹴られたり」とも言えない。

別の言い方をすれば、「踏んだり蹴ったり」といったところで、誰かが私を踏んだり蹴ったりしたということでもなければ、私が何かを踏んだり蹴ったりしたということでもない。私の周りの世界が自然に踏んだり蹴ったりの状態になってしまったのである。「踏んだり蹴ったり」は、形式的には他動詞であるが、実質的には自動詞ないし形容詞だと言える。

その逆の例もある。「雨が降る」の「降る」は、形式的には自動詞であるが、「雨に降られる」という言い方ができるから、実質的には他動詞であると言える。雨が、自らの意志で、私に対して、降るのである。

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二〇〇六年 卯月 六日 木曜日

負けず嫌い? [/language]

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先日、友人と話していて、「負けず嫌い」というのはおかしいという話になった。確かに、「負けないことが嫌い」なのだとすれば、「負けるのが好き」という意味になるはずだ。

調べてみると、明治時代には「負け嫌い」といっていたのが、いつのまにか「負けず嫌い」になってしまったらしい。なぜ「ず」が加わったのかということについては、定説はないようだが、一説には「負けじ魂」との混同ではないかという。広辞苑によると、「負けじ魂」は古い言葉で、源氏物語にも現れる。

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二〇〇六年 弥生 廿二日 水曜日

disk? disc? [/language]

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CD や DVD の最後の「D」、日本語では「ディスク」だが、英語では "disk" と書く場合と "disc" と書く場合がある。どう使い分けるのか。

英語の disk/disc は、フランス語の disque に由来する。そのもとをたどれば、ラテン語では discus、ギリシャ語では diskos だ。だから、語源的に言うと、どちらでもよい。歴史的には、disk の方が 50年ほど早く使われるようになったそうだ。米語では disk が好まれ、英語では disc が好まれる傾向がある。

レコードなどの音盤は disc と書く習慣になっている。だから、音楽業界では、米語でも disc が好まれる。一方、コンピュータ業界では、磁気式記録円盤を disk、光学式記録円盤を disc と書き分ける習慣がある。だから、hard disk、floppy disk、compact disc、digital versatile disc と書き分けると、「おぬしなかなかやるな」と思われるかもしれない。(「ひょっとしてオタク?」と思われるかもしれないけれど。)

では、光磁気ディスクはどうかというと、disk の方が多いようだ。カートリッジに入っているから、フロッピーディスクの仲間だと思われているのだろうか。

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二〇〇六年 弥生 三日 金曜日

exploit [/language]

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最近の Mac に関する話題といえば、何と言っても Mac OS X の脆弱性についてで、TidBITS でも、2週にわたってその話題が取り上げられた。(次号は Apple の新製品が取り上げられるだろう。)

その中で、"exploit" という言葉がよく使われていた。これを普通の辞書で引くと、名詞で「功績」「手柄」、動詞で「利用する」「搾取する」「食い物にする」という意味が載っているが、コンピュータの分野では、それとは全く異なる意味で用いる。文脈によって「脆弱性」「セキュリティホール」と訳したり、「(脆弱性を狙った)攻撃」「攻撃プログラム」と訳したりする。

どうしてそのような意味になるのか、考えても分からない。英辞郎によると、「もとハッカー用語。システムに侵入[を攻撃]したいハッカーから見ての『偉業、すごいこと、うまい抜け道』」が語源だそうだが、これでもよく分からない。クラッカーにとって、セキュリティホールはシステム管理者の「お手柄」だということなのだろうか。

なお、"bug"(虫)が「欠陥」「故障」「不具合」という意味になったのは、実際にコンピュータの中に虫が入って故障したから、という有名な話は、事実ではないらしい。Wikipedia によると、19 世紀のエジソンも、不具合という意味で "bug" という言葉を使っているそうだ。

ちなみに "exploit" の語源をさかのぼれば、ラテン語の "ex"(外へ)と "plicare"(折る)が組み合わさって、「折ったものを広げる」というのが原義。ということは、"exploit" は折り紙作品にとっても「攻撃」だといえる。

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羽鳥 公士郎