blog.鶯梭庵

二〇〇八年 長月 廿六日 金曜日

ケーブルテレビで FM を受信 [/music]

私は自宅にいるときはほとんど常に音楽をかけている。それも現代音楽が中心だ。CD やレコードの類いは持っておらず、ラジオで聞いている。WNYC2BBC Radio 3 はインターネット経由で聞いているが、NHK FM はストリーミング放送をしていないので、普通に電波を受信することになる。

しかし、FM 放送というのは、室内アンテナでうまく受信するのは難しいことが多い。チューナーのマニュアルを見ると、そういうときは屋外アンテナを立てろと書いてあるが、実際には、テレビのアンテナで代用できる。FM 用にアンテナを立てるのは一騒動だが、テレビ用のアンテナはたいていの家にすでにあるだろう。アンテナ端子が壁にあれば、同軸ケーブルを使ってアンテナ端子とチューナーを接続すればよい。

さて、私の家もそうなのだが、電波が受信しづらい地域の集合住宅では、壁のテレビアンテナ端子が屋根のアンテナにつながっているのではなく、ケーブルテレビが敷設されていることがある。テレビを見る分には、信号が屋根から来ていようとケーブルテレビから来ていようと違いはないのだが、FM の場合は周波数が異なる場合がある。端子を見ただけでは判別がつかないので、アンテナ端子につないでも本来の周波数で受信できない場合は、チューニングをいろいろ試してみるとよい。周波数さえ分かれば、きれいで安定した音質で聞くことができる。

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二〇〇八年 葉月 廿九日 金曜日

サントリーホール国際作曲委嘱シリーズNo.32(管弦楽) [/music]

今回のテーマ作曲家はステファーノ・ジェルヴァゾーニ。3年前の同じシリーズで、サルヴァトーレ・シャリーノが、注目している若い作曲家として紹介していた。そのときは私も聞いて、「注目すべき作曲家だと思う」と書いたが、今回演奏された最近作はさらにすばらしかった。演奏は杉山洋一指揮、東京交響楽団。

ジェルヴァゾーニの曲は、1曲目の「イーレネ・シュティンメ」(2006・日本初演) と4曲目の「ルコネサンス」(2008・世界初演)。どちらの題名にも複数の意味が重ねられており、音楽も同様に重層的だ。楽器の組み合わせ、奏法の組み合わせが次々に変わり、あらゆる瞬間に新しい響きが生まれるが、決して過度に複雑にならず、全体のまとまりも失われない。

1曲目はピアノと管弦楽のための作品だが、打楽器の使い方が秀逸だった。ところが4曲目では、打楽器を一切用いていない。それでも、要所に特殊奏法を使い、オーケストラから今まで聞いたことのない響きを引き出していた。

ジェルヴァゾーニの曲があまりにすばらしいので、2曲目のクレール=メラニー・シニュベール「クロニーク」(2008・世界初演) と3曲目のニッコロ・カスティリオーニ「冬−ふ・ゆ」(1972・日本初演) はかすんでいた。どちらも、オーケストレーションに不満を感じた。室内楽で演奏したほうがよいのではないかとすら思った。

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二〇〇八年 文月 一日 火曜日

Music Tomorrow 2008 @ 東京オペラシティコンサートホール [/music]

毎年恒例、NHK 交響楽団のコンサートシリーズ。今年の指揮はジャン・ドロワイエ。

1曲目は西村朗「幻影とマントラ」(2007・尾高賞受賞作品)。日本初演は昨年、同じホール、同じオーケストラでおこなわれ、私も聞いたが、指揮者が違うせいか、はたまた2度目に聞くせいか、3つの楽章の肌触りの違いがくっきりと感じられた。冒頭、死を暗示する打楽器の音で始まり、息もつかせず次々と幻影が表れる第1楽章、弦楽四重奏と弦楽合奏、ハープのみで緩やかに変化してゆく第2楽章、そして西村らしい光が満ちる第3楽章。

2曲目はマグヌス・リンドベルイ「フェリア」(1997・日本初演)。このタイトルは野外の定期市を意味するスペイン語だそうで、管楽器が活躍する祝祭的で分かりやすい音楽。

3曲目は原田敬子「エコー・モンタージュ」(2008・世界初演)。作曲者によれば、「エコー」とは echo であると同時に eco(生態 = 演奏家)、「モンタージュ」とは異なる要素が集まって統一的に感じられるものという意味だということで、その通り、個々の楽器からも、オーケストラ全体からも、さまざまな音形が入れ替わり立ち替わり生み出されるが、統一感があったかどうかは疑問。客席2階にも演奏者を配するというのは、今では珍しくないが、この曲では非常に効果的だった。同じ楽器でも演奏位置が変わると違う響きがするのは不思議だ。

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二〇〇七年 長月 二日 日曜日

第17回芥川作曲賞選考演奏会 @ サントリーホール [/music]

毎年恒例のコンサートだが、今年は、一昨年に芥川賞を受賞して委嘱作品が演奏された斉木由美と、候補者となった土井智恵子、山根明季子、小出稚子の4人が、いずれも女性となった。しかし、女性作曲家ということで一括りにしてはいけない。4人の曲はいずれも非常に個性的だった。

どの曲もオーケストレーションがすばらしく、完成度が高かったが、私は連日の寝不足のため、最初の3曲、斉木の「アントモフォニー VI」、土井の「波跡」、山根の「水玉コレクション」をうつらうつらしながら聞いていた。

しかし、小出の「ケセランパサラン」が始まると、目が覚めた。オーケストラの各楽器がさまざまな特殊奏法を繰り広げるだけでなく、コンサートマスターが空気鉄砲のようなものでポンポン音を立てるなど、各奏者がさまざまな非楽器に持ち替えて演奏する。「こんなことをしたら面白いだろう」ということが思いきり詰め込まれている。それでいて曲がばらばらにならずに、最初から最後まで1つのかっちりとした姿を保ち続けている。これはすごい才能と出会えた、と思いながら聞いていた。

3人の審査員、池辺晋一郎、一柳慧、原田敬子も、全員一致で小出の曲を芥川作曲賞に選んだ。

しかし、これが小出の初めてのオーケストラ作品だそうだ。はじめにこれだけ思う存分暴れてしまうと、この次にどうするのかと心配にならなくもない。2年後の委嘱作品に期待したい。

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二〇〇七年 水無月 十二日 火曜日

コンポージアム2007「武満徹作曲賞本選演奏会」@ 東京オペラシティコンサートホール [/music]

2007年5月27日に開催された。私は生で聞いたのだが、その後忙しくて感想を書かなかった。6月3日と10日に NHK FM で放送され、それを聞いて記憶を新たにしたので、感想を書いておく。演奏は岩村力指揮東京フィルハーモニー交響楽団。

最初の曲はファン・マンの「アクア」。冒頭、この世のものではない響きで始まり、その後も終始幻想的な音景が続く。魅力的な作品だが、あまりに多くのことを一曲につめ込もうとして、やや焦点がぼやけてしまった印象があった。審査員の西村朗がつけた順位は第3位、私が勝手につけた順位は第2位。副題に「武満徹の追憶に」とあるが、武満の音楽を直接想起させることはない。むしろ、2曲目のウー・イーミン「夢の回想」は武満の亜流だと感じた。美しい曲ではあるが、武満トーンそのものだ。西村の順位は第3位、私の順位は選外。

3曲目はヨーナス・ヴァールフリードソンの「戦場に美しき蝶が舞いのぼる」。ワンゲチ・ムトゥの同名の絵画に基づいているそうだ。響きの色彩が豊かだが、余計な音がまったくなく、透明で澄みきっている。西村の順位は第3位、私の順位は第1位。4曲目はアンドレア・ポルテラの「キューブ」。このタイトルは、立方体の6つの面と、人生の6つの場面とを重ね合わせている。タイトルから、6つの部分が大きな変化を見せる作品を想像したのだが、実際には精妙な作品で、個人的には拍子抜けしてしまった。面白い響きが随所にあったが、全体としてとらえどころがないように感じた。西村の順位は第2位、私の順位は第3位。

最後の曲は植田彰の「ネバー・スタンド・ビハインド・ミー」。タイトルからしても、またプログラムノートを読んでも、「ゴルゴ13」を念頭において作曲されたもののようだ。そのこと自体は悪いことではないのだろうが、劇画的というよりは漫画的に聞こえるところが多々あり、作品の品格を損ねていたように思う。演奏家が足を踏みならす、声を発する、プラスチックチューブを振り回すといった効果は、それ自体は新しいものではないし、すべてに必然性が感じられたわけでもなかった。西村の順位は第1位、私の順位は選外。

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羽鳥 公士郎