二〇〇五年 皐月 卅一日 火曜日■ 折り紙と著作権・制作は複製か実演か [/origami]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 創作された折り紙作品が著作物かどうかということについては、私はまだ結論を出しかねている。著作物だという結論に対しても、著作物でないという結論に対しても、どちらにも説得的な議論を立てることができる。 一方、制作された折り紙作品については、創作者が制作した折り紙作品の複製と考えるべきではなく、創作された折り紙作品の実演と考えるべきだということは確かなように思われる。 著作権法では、著作者は、著作物を複製する権利を専有する(第二一条)と同時に、著作物を公に実演する権利を専有する(第二二条)。また、複製権は、私的使用については制限されており(第三〇条)、実演する権利は、営利を目的とせず、かつ観衆から料金を受けず、かつ実演家に対し報酬が支払われない場合に制限される(第三八条)。 簡単に言うと、複製を作る場合には著作者の許可が必要であり、私的範囲では例外的に許可が必要ない。一方、実演の場合、私的範囲の実演には著作者の権利はそもそも及ばない。また、公の実演でも、非営利の場合は例外的に許可が必要ない。 折り紙の制作が複製だとすると、制作した作品を公開するためには、創作者の許可が必要だということになる。学校の文化祭での展示や銀行のロビーでの展示でも許可が必要になる。また、折り紙サークルが公民館で折ったりするのも、人数がある程度多ければ許可が必要になる。しかし、これではあまりに厳しすぎる。一方、折り紙の制作が実演だとすれば、このような行為は、非営利である限り、創作者の許可なくすることができる。 折り紙において、創作者が作品を創作した場合、それを他人に折らせないということはまれで、折り図を描いたり折り方を講習したりして他人に積極的に折ってもらうことの方が多い。そうして作品を制作した制作者としては、それを多くの人に見てもらいたいと思うだろうし、多くの人に折ってもらいたいと思うだろう。そのようなことは、非営利であれば、創作者に経済的な損失はないし、折り紙文化全体の発展につながるから、著作権法の精神にも合致する。私的制作を無条件で認め、非営利の制作に創作者の許可が必要ないとする立場の方が、折り紙の実態に合っていると思われるのである。 なお、非営利の制作であっても、著作者人格権は制限されない(第五〇条)。したがって、制作した作品を私的範囲を越えて公開する場合には、作品の創作者名と題名を正確に表示しなければならない。 関連記事: ・折り紙の著作権 [/origami] ・折り紙と著作権・私見 [/origami] ・折り紙と著作権・再び前言撤回か? [/origami] ・折り紙作品使用のガイドライン(ベータ版) [/origami] |
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