blog.鶯梭庵

二〇一〇年 睦月 廿九日 金曜日

タバコのリスクを計算してみた [/links]

元日に届いた学士会会報を今頃読んだ。東京大学医学部附属病院の中川恵一氏によると、癌の原因の3割はタバコだそうだ。

厚生労働省の平成20年人口動態統計(PDF)によると、2008年に亡くなった日本人は114万人ほど、そのうち癌で亡くなった人が34万人ほどで、癌は死亡原因の30%を占める。ということは、日本人の死因の1割程度はタバコだということになる。

この計算では、喫煙者と非喫煙者を分けていない。癌ができてから亡くなるまでの期間は20年から30年ということなので、1980年頃の喫煙率をJTの調査で見てみると、男性が70%程度、女性が15%程度、平均して4割程度だ。非喫煙者がタバコで死ぬことがないとすると、喫煙者のうち4人に1人はタバコのせいで癌になって死んでいることになる。実際には、受動喫煙のリスクがあるので、大雑把に喫煙者の5人に1人がタバコのせいで死ぬと考えればよいだろう。

乱暴な言い方をすれば、タバコを吸うということは、20%の確率で死ぬというリスクを冒していることになる。もちろん、タバコ以外の原因で死ぬ確率が80%あるわけだが、ギャンブルにしても割に合わないと思う。

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二〇一〇年 睦月 廿一日 木曜日

Google は中国から撤退しない [/links]

Google が中国でサイバー攻撃を受け、中国から撤退するかもしれないと発表したことが、大きな話題になっている。これについて、中国は言論の自由を封殺する悪者で、Google はそれに反旗を翻したというような見方がある。それも一面で正しいかもしれないが、別の側面もありそうだ。

当初の Google の発表では、今回の攻撃は、中国の反政府活動家の Google アカウントが狙われたものとされ、それによって中国政府の関与が暗示された。そのため米国政府までが動いたのだが、実際には、この攻撃は Google 社内のソースコードを盗み出すことが目的で、内部の人間が関与している可能性もあるという。そのような産業スパイ行為は、何も今にはじまったことではないし、攻撃を受けているのは Google だけではない。

Google's spy case: Not the first, nor the last

そこで気になるのが、今回の件で、Google が早々に中国語版 Google の検索結果から検閲を取り去ったことだ。実は、それこそが Google の狙いだったのではないか。Google は、世界の検索市場では圧倒的なシェアを誇るが、中国国内だけで見ればバイドゥ(百度)に大きく水をあけられている。検閲のない検索結果は、バイドゥからシェアを奪う強力な一手になりうるが、それをまともにやったのでは中国政府からお咎めを受ける。そこで今回のような騒ぎを演出したのではないか。米国政府が口を出したとなれば、中国政府も安易に手を出すことはできない。

検閲を取り去ることが Google の狙いだとすれば、Google はすでに目的を達成した。これ以上何もすることはない。バイドゥからシェアを奪うのを期待しながら、引き続き中国でビジネスを続けることだろう。もっとも、中国政府があくまで検閲を強制するなら、話はややこしくなるだろう。

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二〇一〇年 睦月 十六日 土曜日

石川議員逮捕は検察の横暴か [/links]

窪田順生著『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』を読んだ。その上で、石川知裕氏の逮捕劇を眺めていると、いろいろなことが推測できる。

そもそも、今回の「罪状」は、帳簿上こっちにつけるべき金をあっちにつけたということでしかないようだ。それも犯罪と言えば犯罪だが、裏金を隠したとか国民の利益を損ねたとかいうことはないようなので、公園で酒に酔って全裸になったら犯罪だというのとそれほど変わらない。全裸になった草なぎ氏は家宅捜索を受けたが、一般人ならそれぐらいのことで家宅捜索を受けることはない。石川議員にしても、帳簿をちょっとちょろまかしたぐらいで逮捕されるというのには、裏の意図がありそうだ。

その意味で興味深いのは、この本に紹介されている、元ライブドア社長堀江貴文氏の例だ。東京地検特捜部は、堀江氏が逮捕される1年ほど前から、堀江氏の逮捕をねらって、メディアを使って情報を収集していたそうだ。堀江氏の逮捕が前提にあって、罪状は何でもよかった。結局、堀江氏は、石川議員と同じような「有価証券報告書の虚偽記載」という容疑で逮捕された。

検察が小沢一郎氏をねらっていることは、西松建設に関する事件からも明らかだ。その騒ぎでは、小沢氏は民主党代表を降りたが、選挙に勝って幹事長になった。いわば検察の負けだ。そこで検察が巻き返しを図り、どうでもよいような罪で現職の国会議員を逮捕したとも考えられる。小沢立件が前提で、そのためにはあらゆる手段を使うというわけだ。

もちろん、今回の虚偽記載が裏金を隠す目的だったとすれば、小沢氏本人の責任も追及されるべきだ。しかし、上杉隆著『世襲議員のからくり』で指摘されていることだが、小沢氏は現在の政治資金規正法をつくった張本人だ。西松建設のときにも、裏金は見つからず、秘書が起訴されて終わった。今回も「表のカネ」である可能性が高いのではないか。

なお、この手の報道では「関係者への取材で分かった」というような表現がよくなされるが、これは、すべてではないにせよ、検察からのリーク情報が多いそうだ。著者の窪田氏は、西松建設の件で「東京地検特捜部からの『リーク情報』が大いに報道を賑わせた」と指摘している。

情報というのはすべからく、誰かが意図的に流したものだ。そのことを意識することが、メディアリテラシーの本質だろう。

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二〇〇九年 師走 廿七日 日曜日

日本のマスコミにジャーナリズムは存在しない [/links]

以前にも書いたが、私の家にはテレビがない。新聞も読んでいない。マスコミのニュースには見聞きする価値がないことを知っているからだ。まだそのことを知らない人には、上杉隆著『ジャーナリズム崩壊』を読むことをすすめる。

ジャーナリズムが、三権を監視する第4の権力だとしたら、日本のマスコミにはジャーナリズムがない。権力側が意図的に流している情報を、右から左へ伝えるだけだからだ。それどころか、産経新聞社会部のように、自らが権力と一体となって恥じない人が、新聞各社の政治部には多いそうだ。

こうなってしまった主な原因は、記者クラブにある。記者クラブからは、海外の記者やフリーランスの記者は事実上締め出されている。そして、記者クラブに加盟しているマスコミ各社の記者はといえば、ほとんどが事なかれ主義で横並びをよしとするサラリーマンに過ぎない。そのため、競争原理は一切働かず、官僚や政治家は記者クラブを通していくらでも情報操作ができる。

筆者は、マスコミを「最後に残った護送船団方式の業界」と言っている。その中で、注目されるのは毎日新聞の動きだ。毎日新聞は共同通信社と提携して、調査報道により力を入れると言う。そもそも日本のマスコミは、本来通信社が行うべきことを各社がそれぞれ行っているわけで、ひどく効率が悪い。これが護送船団から抜け出す第一歩であることを期待するが、それにしても記者クラブをどうにかしなければ、日本にジャーナリズムは育たないだろう。

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二〇〇九年 師走 六日 日曜日

地球温暖化の嘘・その8 [/links]

当ブログでは、2006年から何度か、人間が排出する二酸化炭素により地球が温暖化するという仮説は根拠が薄いと主張してきた。そもそも、現在地球が温暖化しているかどうかも怪しい。BBC が伝えるところでは、最近地球の平均気温がもっとも高かったのは 1998 年であり、それ以来地球は温暖化していない。

地球温暖化については、現在科学的な議論が行われている最中だが、その中で捏造が行われてきた可能性が、先月浮上した。この Climategate と呼ばれるスキャンダルについて、田中宇氏がまとめている

もちろん、この1件で地球温暖化仮説が否定されるわけではない。しかし、問題は、データを捏造してまで地球温暖化を「事実」としたがっている人たちがいるということにある。そこには、科学的真理を探究しようという意志はない。


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地球温暖化の嘘・その1

地球温暖化の嘘・その2

地球温暖化の嘘・その3

地球温暖化の嘘・その4

地球温暖化の嘘・その5

地球温暖化の嘘・その6

地球温暖化の嘘・その7

まんまるさんのコメント:
温暖化説が嘘かどうかなんて私にはわかりません。ただ全世界が地球環境のことを考えるきっかけになったことはとても大きいと思いますし、それだけで信じようとする力に繋がります。嘘という言葉は強すぎて、こういう発言を見聞きすると少し悲しくなります。

羽鳥さんのコメント:
まんまるさん、コメントありがとうございます。
地球環境のことを考えるのはよいことですが、それが誤った方向に誘導されているとしたらどうでしょう。
捕鯨問題が分かりやすいのですが、現在南氷洋のミンククジラは増えており、増えすぎたせいでほかの鯨が増えられないという説もあるくらいなのに、一部の環境保護団体が日本を含めた捕鯨国を悪者に仕立てて、自分たちの寄付金集めに利用しています。
地球温暖化についても、二酸化炭素だけが誇張されて悪者にされ、利用されているのだとしたら、やはり「嘘をついている人がいる」と指摘しなければならないと思います。

まんまるさんのコメント:
感覚的なコメントにお返事くださりありがとうございます。
ただ、たとえ利用されているのだとしても、今の消費社会にブレーキをかけようと普通の人々が考えるようになったことはとても意義のあることだと思うのです。「嘘をついている人がいる」との声が多くの市井の人に届き、消費し尽くすことを悪いと感じない社会に逆戻りすることを想像すると怖いのです。

羽鳥さんのコメント:
確かに、大量消費社会に戻るとしたら怖いと思いますが、誤った理由に基づいて、結果的によいことを考えるようになったという状態にも、同じぐらいの怖さがあります。自分たちがよいと信じていることが、実は悪い方向に向かっているという怖さです。
消費社会にブレーキをかけようというのは、たまたまそうなっただけで、ひょっとしたら、二酸化炭素を出さないように原子力発電を推進しようという風になっていたかもしれません。また、生産と消費をひかえようというのを、先進国が発展途上国に言えば、途上国の人々の生活水準を低いままに保つための手段ともなります。
そういうわけで、理由が間違っていても結果がよければいいという考えには、私は与しません。

もぐらさんのコメント:
時代の影には、必ず利益を得る、巨額資本家が見え隠れしています。
温暖化が進行した場合、喜ぶのは誰でしょうか。化石資源も
限界があるのでしょうが、代替エネルギー促進で巨額の利益を得る
資本家もいるのです。人類の意見より、資本家の利益が優先されて
動く世界なのである。(とくにUSA)
その代価は、知らず々に、庶民に跳ね返ります。
例:CO2削減には住宅の冷暖房の電力消費削減もあります・
新築住居の外壁の内部側断熱の強化、窓ガラスの単板からペアガラスへの移行。
結局、購入者側に負担になるものなのです。しかし、資材生産にとっては
利益になるのです。

羽鳥さんのコメント:
もぐらさん、コメントありがとうございます。
資本家というのは、利益を得るのが仕事ですから、温暖化が進めば進んだで利益を得るでしょうし、寒冷化が進めば進んだで利益を得るでしょう。中には、失敗して損をする資本家もいるでしょう。しかし、資本家が温暖化を進めたり抑えたりはできないと思います。
また、住宅の電力消費削減は、初期投資は増えても、月々の電気料金が減るのですから、長い目で見れば庶民にとっても得だと思います。仮に、新築時に150万円上積みすることで月々の光熱費が5000円安くなるとしたら、25年住めば元が取れます。

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羽鳥 公士郎