blog.鶯梭庵

二〇〇四年 長月 十八日 土曜日

紙は平面ではない [/origami]

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9月13日の記事「折り鶴を鶴に見立てるということ」に続いて、いよいよ千羽鶴問題に切り込もうと思っているが、その前に、小松さんの記事「なぜ動物なのか」でふれられた一つの問題に返答しておく。

私が「紙を折ってできる形は、もともとの無機的な形の中に内包されていたものである。紙がもともと持っている可能性を越えた形を作ろうと思ったら、紙を切ったり貼ったりしなければならない。」といったところ、小松さんは「必ずしもそうではないのでは。いわゆる『隠し折り』のように『切り紙』的な手法もあるわけですし。」と答えた。

紙を平面だと考えれば、小松さんの意見は正しい。しかし、紙は立体である。紙には厚みがあって、体積がある。紙を折ると、面積は変わるが、体積は変わらない。隠し折りをしたり、紙の内部を一値分子にして畳み込んだりしても、紙がなくなるわけではないし、紙が見えなくなるわけでもない。面積が減れば、その分厚みが増える。面積と厚みを両方減らそうとすれば、紙を切るしかない。結局、紙を折っている限り、紙がもともと持っている可能性を越えた形は作れない。

その部分が本当に不要であれば、切ってしまえばよいのである。隠し折りの結果生まれた厚みが、作品の形を損なうとすれば、折る意味はまったくない。切るべきである。切らないというルールを自分に課すのは勝手だが、そのことを他人に対して正当化しようとすれば、切らずに折ることの理由を説明できなければならない。あなたはともかく、普通の人は、折り紙に対して特別な感情を持っていないのだから。


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羽鳥 公士郎