blog.鶯梭庵

二〇一一年 卯月 廿日 水曜日

福島原発事故について・その4 政府の対応について [/links]

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その3で、年間の被曝量を計算する方法を説明し、その値の解釈を示した。これは私個人の解釈ではあるが、ICRPの勧告にしたがって、許容できる放射線量を1年間に1ミリシーベルトとしている。

ところが政府は、1年間に20ミリシーベルトまでは許容する考えだ。この値は、その1で述べたように、ICRPの勧告では「個人が直接、利益を受ける状況」で許容される線量だ。放射線を扱う仕事をする人などがこれに相当する。今は非常事態なので、大人の基準を20ミリシーベルトにするのは仕方がないかもしれない。しかし、その基準を子供にまで当てはめようというのだから、私には、正気の沙汰とは思えない。

本来であれば、1年間の被曝量が1ミリシーベルトを超えると予想される地域に住んでいる人は避難するべきだ。実際は、放射能で汚染されている範囲はかなり広いので、全員が避難するというのは現実的でないのだが、それにしても、せめて子供と妊婦は避難させなければならない。

ところが政府は、原子力安全委員会が子供の基準を10ミリシーベルトにすると言ったのに、それを撤回させて20ミリシーベルトにした。しかも、文科省が福島県内の学校で1時間あたり3.8マイクロシーベルトまでは通常通りとしたのは、内部被曝を考慮せず、外部被曝だけで年間20ミリシーベルトまでという計算をしている。子供の安全を犠牲にしてまで、何を守ろうというのか。

また、農林水産業など、避難が失業を意味する人も多い。避難に関わる各種コストは、本来なら東京電力なり政府や自治体なりが負担するべきだ。しかし政府は、計画的避難区域とした地域に対してすら補償を明確にしていない。日本赤十字が原発周辺で避難した人に対し義捐金を配分することにしたが、東京電力や政府はこれを恥と思わなければならない。

こんな具合なので、避難しないで仮に癌になったとしても、政府が補償するなどということはまったく期待できない。癌になったところで、その原因が放射能であるかどうかは分からないので、政府はいくらでもしらを切ることができる。

チェルノブイリの事故による死者の数には諸説あり、一説には100万人以上とも言われているのに、政府は死者の合計が43名という、極端に少ない説を持ち出している。さすがに福島原発の事故で100万人が死ぬことはないと思うが、死者が数十人ということも考えにくい。しかし政府は、福島で何人死のうと、それは原発とは関係ありませんと言うつもりなのだろう。

日本の政府や財界の官僚主義、人命軽視は今に始まった話ではないが、この非常時にかつてないほど明確になっている。戦中の政府でさえ子供たちを疎開させたではないか。

その5に続く。

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羽鳥 公士郎