二〇一一年 卯月 十八日 月曜日■ 福島原発事故について・その3 避難するべきか [/links]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 その2で、外部被曝と内部被曝について説明した。 外部被曝の量は、全国の放射能濃度一覧を見れば推定できる。ここに示されている値は自然放射線も含んでいるので、現在の値から「過去平常値」を引けば、人工放射線による外部被曝量が分かる。 過去平常値には幅があるが、高い値はかつて世界中で地上核実験が行われていたときの値だと思われるので、低い値が自然放射線の量だと考えた方がよいだろう。現在の放射線量から過去の放射線量の低い方の値を引いたものを、現在の人工放射線量とする。 これは1時間あたりの値だが、1年間ではどうなるだろうか。 放射性物質は一定の確率で放射線を出して別の物質に変わるから、一定の割合で減ってゆく。少なくなる速さは物質によって決まっている。この速さのことを半減期と呼んでいる。半減期が1日だとすると、最初の量が1なら、1日後には1/2、2日後には1/4、3日後には1/8というように減ってゆく。 京都大学の今中哲二氏を中心としたグループが飯館村で行った調査によると、大気中に放出された放射性物質は、セシウム、ヨウ素、テルルが主だ。ヨウ素とテルルは比較的早くなくなるが、セシウムはなかなか減らない(ヨウ素の一種131Iの半減期は約8日だが、セシウムの一種137Csの半減期は約30年)。 大量の放射性物質の放出から1か月ほど経っているので、現在の人工放射線量のほとんどはセシウムに由来すると推測される。セシウムはあまり減らないので、今後福島原発で何も起こらないとしても、現在の1時間あたり放射線量がほとんど変わらず1年間続くと考えるべきだ(少しは減るが、過去1か月間の値は現在の値より高かったから、計算を簡単にするために相殺されると考えることにする)。 したがって、現在の1時間あたりの放射線量を24倍して365倍したものを、1年間での外部被曝量とする。 内部被曝は、空気中にある放射性物質を吸い込むことによるものと、食べ物や飲み物によるものとがある。空気からの内部被曝は、外部被曝とほぼ同じ量と考えてよいようだ。食べ物や飲み物による被曝は、放射能に汚染されている物を食べたり飲んだりしなければ防ぐことができる。 そこで、食べ物や飲み物に気をつけた場合に今後1年間で被曝すると予想される放射線量は、1年間の外部被曝量を2倍すれば求められる。 たとえば東京で計算すると、今日の空気中の放射線量が毎時0.076マイクロシーベルトで、過去平常値が毎時0.028〜0.079マイクロシーベルトとなっている。自然放射線の値を0.028マイクロシーベルトとして、1時間あたりの外部被曝量は0.076-0.028=0.048マイクロシーベルトとなる。これを24倍して365倍すると、1年間の外部被曝量は約420マイクロシーベルト=0.42ミリシーベルトとなる。空気による内部被曝もこれと同じとして、被曝量の合計は0.84ミリシーベルトとなる。1ミリシーベルトより少ないので、東京は安全だ。 ぜひ、自分の住んでいる地域の被曝量を計算していただきたい。そして、次のように考えたらよいだろう(ICRPの基準を参考にしている。カッコの中に、東日本の環境放射能測定値の地図による可視化実験で大まかに対応する色を示したが、これはあくまで参考。文科省や自治体、大学などが発表する測定値を基に、ご自分で計算してください)。 ・被曝量が0〜0.5ミリシーベルトの場合(青から濃い水色)、何も気にすることはない。普段通りの生活でよい。念のため、食べ物や飲み物に気をつけた方がよいが、神経質になる必要はない。 ・被曝量が0.5〜1ミリシーベルトの場合(水色)、食べ物や飲み物に気をつければ大丈夫。避難の必要はない。 ・被曝量が1〜2ミリシーベルトの場合(薄い水色)、可能なら1年以内に避難した方がよい。避難できない場合、子供や妊婦は屋内退避。屋内では放射線量が半分程度になる。内部被曝がなくても半分になるので、外出時にはマスクをし、外から帰るときには服をはたく(室内に花粉を入れないのと同じイメージ)。健康な大人なら、食べ物や飲み物に気をつければ、避難しなくてもよいだろう。 ・被曝量が2〜20ミリシーベルトの場合(緑色)、1年以内に避難すべき。子供や妊婦はできるだけ早く避難する。健康な大人なら、癌になる確率が少し上がることを理解した上で、避難しないという判断もあり得る。煙草を吸う人なら、元々癌になる確率は高いので、避難してもしなくてもたいして変わらないかもしれない。 ・被曝量が20〜100ミリシーベルトの場合(黄緑色)、できるだけ早く避難すべき。健康な大人なら、癌になる確率がかなり上がることを理解した上で、避難しないという判断もあり得る。煙草のリスクと比べたら、たいしたことはない。 ・被曝量が100ミリシーベルト以上の場合(黄色から赤)、できるだけ早く避難する。健康な大人なら、癌になる確率が大幅に上がることを理解した上で、避難しないという判断もあり得る。必ず癌になるというわけではない。 なお、これは福島原発が今後順調に冷えると仮定した場合であることに注意してほしい。 その4に続く。 |
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