blog.鶯梭庵

二〇〇八年 霜月 廿三日 日曜日

なぜ人はニセ科学にだまされるのか・その2 [/links]

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その1から続く。

加えて、多くの人は、何かを悪者に仕立て上げるのが好きだ。そうすれば自分が相対的によい人に思えるからだろう。科学報道について言えば、環境ホルモンやゴミ焼却によるダイオキシンがその例だ。環境ホルモンの人体への作用は立証されていないし、水生生物のメス化については、下水に含まれる人の女性ホルモンの影響が大きいと考えられている。また、日本人がダイオキシンを人体に取り込むのはほとんどが食物を通じてであり、ダイオキシン騒動のさなかでも、母乳に含まれるダイオキシンの量は年々減少していた。

しかし、環境ホルモンやダイオキシンの危険性を訴える警鐘報道は、視聴者の興味を引きやすいし、報道する側も社会的意義のあることをしていると錯覚しやすい。そのような報道は容易にエスカレートし、ことさらに危険性ばかりを強調することになる。後になって影響がないことが分かっても、その事実は決して報道されることはない。

このような問題では、環境保護団体や消費者団体もやはり、自分たちが正義であると錯覚するだろうし、自分たちの活動基盤を確保するために問題を煽ることすらある。この本ではインドの NGO が炭酸飲料の危険性をでっち上げた事例が紹介されているし、鯨の保護を訴える環境保護団体の多くは、鯨が実際に増えているか減っているかということにはおかまいなしに、寄付金を目当てに派手な活動をしている。また、環境庁や研究者も、予算欲しさに問題を煽ったふしがあると松永は指摘している。

そのような活動や研究をマスコミが報じれば、マスコミも詐欺の片棒を担ぐことになる。本書では、報道人は「『○○という研究者がこういう発表をした』という事実を報じたまでだ」と言い逃れをするだろう、と書かれているが、情報の取捨選択こそ報道の根幹なのだから、これはまったく言い訳にはならない。しかし、視聴率競争、特ダネ競争、出世競争の中では、事実を無視した悪者作りがせっせと進められることになる。

この本では触れられていないが、二酸化炭素による地球温暖化も同じだろうと私は考えている。二酸化炭素を悪者にすることについては、政治的な意図も疑われるが、この本では、バイオ燃料の推進がトウモロコシの価格を吊り上げるための米国の策略であることが指摘されている。

その3に続く。

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羽鳥 公士郎