二〇一四年 卯月 六日 日曜日■ 日本人はなぜ英語ができないか・その4 [/language]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 その3から続く。 英語の世界で閉じればよいのなら、英会話学校に通って、あるいは英語を聞き流すだけで、英語を習得することができるだろうか。確かに英語話者は、英語を学ばなくとも、英語の世界における内容と英語の文との行き来ができるようになる。しかしそれは、生まれてこのかた1日24時間(寝ているあいだは夢の中で)英語を聞いたり話したりしてきた結果であって、聞き流すだけで英語を習得するのは絶対に無理だし、英会話学校でも膨大な学習時間が必要となる。 1750時間の授業で英語を教えるとするなら、英語教師が教えるべきは、英語の世界観だ。英語話者は、子どもの頃に数年間英語漬けの生活を送ることで、英語の世界観を自然に体得する。日本人が日本語で日常生活を送りながら、英語話者と同じことをしても、到底追いつかない。小学校から始めたところで大差はない。(脱線するが、外国語の能力は母国語の能力を越えることはないから、日本語がおぼつかない小学生に英語を教えても無駄だ。) もちろん、英語の世界観を知っただけでは、英語を話せるようにはならない。野球の理論を学んだところで、実際にボールを投げてバットを振らなければ野球がうまくならないのと同じだ。学問に王道なしの格言通り、練習以外に英語がうまくなる方法はない。しかし、英語の世界観がどのようなものであるかを知って練習するのと知らずに練習するのとでは、効率が格段に違うはずだ。 英語圏の語学学校に留学するのでも、英語の世界観を知った上で学校に通うなら、英語力はめきめき上達するだろう。ただし、現地で英語の世界観を習得しようとするのは効率が悪い。日本語話者はすでに日本語の世界観を持っているので、日本語の世界観と対照しながら英語の世界観を学ぶのがよいのだが、英語圏の語学学校では日本人向けの授業はしてくれない。 まとめると、英語を効率的に学習するには、英語の世界観を理解した上で、英語の世界と英語の文との行き来を練習する。練習におけるポイントは、英文和訳や和文英訳をしないことだ。英語の質問に英語で答えるのが理想だが(私自身を振り返ってみると、折り紙のメーリングリスト origami-l に参加して、英文のメールを大量に読み書きしたことが、よい練習になった)、それが難しければ、音声と文字が対応した教材を使って、リピーティング、音読、ディクテーションをするとよい。 リピーティングは、英文を耳から入力して口から出力する。音読は、英文を目から入力して口から出力する。ディクテーションは、英文を耳から入力して手から出力する。いずれにしても、英語の入力に対して英語で出力することが重要だ。ただし、いずれの練習も、英文の内容が腑に落ちてからでないと効果が薄い。そのためには英語の世界観を理解していなければならないが、逆に、英語の世界観が理解できていると、英語の出力が容易になるはずだ。英語を日本語に変換して理解し、日本語で答えを考えてからそれを英語に変換するのでは、流暢な会話はできない。 |
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