二〇一二年 文月 十五日 日曜日■ 折り紙作品の著作権と展示権 [/origami]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 創作された折り紙作品が著作物であるかどうかについては議論の余地があることは、このブログでも何度か指摘しているが、制作された折り紙作品が美術の著作物であると考えることはおそらくできるだろう。 さて、美術の著作物については、展示権が設定されている。著作権法第二十五条に「著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する」とある。つまり、美術の著作物を展示する場合、著作者の許可を得なければならない。 では、美術の著作物が譲渡や売買によって別の人の手に渡ったらどうなるだろうか。譲渡や売買では、所有権は移動するが、著作権は移動しない。では、美術品を買った人は、それを展示したいと思ったら、作者の許可を得なければならないのだろうか。画家から作品を購入した美術館は、それを展示するたびに、画家の許可を得ているのだろうか。 実はそんなことはなくて、著作権法第四十五条に「美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は、これらの著作物をその原作品により公に展示することができる」とある。つまり、作品を所有している人は、著作者の許可を得ることなく、作品を展示できる。 もちろん、作品の所有者は著作権を持っていないので、その作品を複製することはできない。だから「原作品により」という注釈がついている。 通常の美術作品であれば、原作品は1つしかない。ところが折り紙の場合、制作された折り紙作品が美術の著作物だとすれば、創作者が創作した折り紙作品から、いくつもの「原作品」を作ることができてしまう。 似たような問題が、写真でも生じている。写真の場合、通常は、写真を撮ってネガやポジを作成するだけでなく、それをプリントして初めて作品となる。その際、1枚だけプリントするということもないことはないが、写真集のように多数プリントすることもある。そのため、著作権法第二十五条では、写真について「まだ発行されていない」という注釈がついている。写真集が発行されれば、多数プリントされた写真のそれぞれが原作品となる。その写真集を購入した人は、写真家に無断で写真を複製することはできないけれど、写真家に無断で写真を展示することはできる。(もちろん、写真家が著作人格権を持つので、展示者は、写真を改変してはいけないし、写真家の名前を表示しなければらない。) 制作された折り紙作品について、創作者が著作権を主張するには、創作された折り紙作品が著作物だとするアプローチと、制作された折り紙作品のそれぞれが、創作者が制作した作品の複製であるとするアプローチがある。そのいずれかがうまくいったとしても、制作された折り紙作品について、制作者の所有権を否定することはできないだろう。とすれば、現行の著作権法との整合性をとるなら、制作者に展示権があると解釈することが妥当であるように思う。 実際、折り紙コンベンションの展示では、他人が創作した作品を折って展示する場合、いちいち創作者に許可を求めてはいない。作品の題名と創作者名、制作者名を明示すればよいとしている。最近、美術館や画廊で折り紙が展示される機会が増えているが、その場合でもこの運用でよいのではないだろうか。 SNさんのコメント: |
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