二〇一一年 神無月 廿五日 火曜日■ 「折り紙公理」の形式化・その1 [/origami]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 折り紙の作図で必要な折り方は7つある。ただし、「点 P が直線 L の上にあるとき、P を L に乗せるように折るとは、P を通るように折るか、L と垂直に折るかのどちらかだ」とすると、7つの折り方を ・2つの点と2本の直線があるとき、一方の点が一方の直線の上に乗り、もう一方の点がもう一方の直線の上に乗るように折る。 という折り方1つにまとめることができる。これに、 ・2本の直線があるとき、それらが交わるところに点を置く。 という操作を加えると、折り紙の作図がすべて可能になる。 この2つの操作(または7つの折り方)が「折り紙公理」と呼ばれることがあるが、この呼称が不適切であることは、すでにいろいろなところで指摘されている。 しかし、公理というのは、ユークリッドの時代には議論の土台となる自明な真理と考えられていたが、非ユークリッド幾何学が成立することが知られている現代では、特定の体系を作る上での前提とみなされる。そのため、形式的には、どんな公理系でも作りたければ作ってよいし、上記2つの操作を公理系と呼んでも間違いではない。 とは言え、この2つのいずれも、公理とするには問題がある。どちらも、ユークリッド平面幾何学を前提とすると、そもそも正しくない。2本の直線が平行ならば、それらの交点は存在しないし、2つの点があっても折ることができない場合がある。ユークリッド幾何学をモデルとすると公理が成り立たないのであれば、この公理系は非ユークリッド幾何学だということになる。せっかく折り紙公理系を作るなら、ユークリッド平面幾何学がモデルの1つとなるように作りたい。 点を置く操作については、2本の直線が平行ならば交点がないが、平行でなければ交点がある。また、直線を折る操作についても、以前論じたように、2本の直線が平行でなければ、必ず1か所以上で折ることができる。 そこで、折り紙公理系の公理として、とりあえず次の2つを挙げることができる。 ・2本の直線 l と m があるとき、l と m が平行でなければ、l と m の交点 a が存在する。 ・2つの点 a と b、2本の直線 l と m があるとき、l と m が平行でなければ、a を l の上に乗せ b を m の上に乗せる折り線 n が存在する。 なお、「A でなければ B」は「A または B」と論理的に同値なので、以下のように書いてもよい。 ・2本の直線 l と m があるとき、l と m が平行であるか、l と m の交点 a が存在する。 ・2つの点 a と b、2本の直線 l と m があるとき、l と m が平行であるか、a を l の上に乗せ b を m の上に乗せる折り線 n が存在する。 その2に続く。 |
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