blog.鶯梭庵

二〇〇六年 卯月 一日 土曜日

折り紙の起源

先頃発足した韓国折紙学会の Park Seung-Yeop、Lee Chan-Ho らの調査によると、13世紀末に書かれたとされる三国遺事に、高麗王朝前半(10世紀から12世紀)の貴族のあいだで実践されていた礼法が記録されており、その中に、正方形の紙の四隅を中心に合わせて折るというものや、各辺を対角線に合わせて折るものが含まれていると言う。前者は座布団折りに違いないし、後者はおそらく日本の桔梗甲立と同じ形、つまり鶴の基本形だと思われる。

このような折り紙は、光宗の代(949-975)に整えられたようだが、1170年の武臣の乱とそれに続く武人政権、および13世紀から14世紀にかけての元による支配のあいだに、朝鮮半島からは完全に失われたと考えられている。

12世紀初めには、庶民のあいだで、これらの折り紙から様々な鳥の形を折ることが流行したそうだ。この鳥というのが、座布団折りから作るものなのか、鶴の基本形から作るものなのかは分からないが、前者とすればパハリータに似たものであろうし、後者とすれば折り鶴に似たものであろう。あるいはその両方ということもありうる。

12世紀初めといえば、日本に折り鶴があった証拠はないし、ヨーロッパにパハリータがあった証拠もない。高麗の首都開京(今の開城)は、中国や日本はもちろんアラビアからも商人が頻繁に訪れる国際貿易都市であったから、12世紀ないし14世紀に朝鮮半島で折り紙の伝統が途絶える前に、折り鶴が日本に伝わり、パハリータがアラビア経由でヨーロッパに伝わり、その後両地域で折り紙が独立して発展したということが考えられる。

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2006年4月2日追記 この記事の賞味期限は昨日までです。

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二〇〇六年 如月 十八日 土曜日

Wikipedia の更新

やっと時間の余裕ができたので(日付が変わってから作業をしているというのに、時間の余裕も何もあったものではないのだが)、Wikipedia の折り紙の項目のうち、歴史の部分を書き換えた。

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二〇〇五年 霜月 廿二日 火曜日

折り紙で3次方程式

トム・ハルさんが折り紙の数学についての本を書いているそうで、私のウェブページにある3次方程式の解法を引用したいという連絡があった。それで教えてもらったのだが、現在知られている限り、折り紙を使って3次方程式が解けるということを最初に見つけたのは、イタリアの Margherita Beloch という人で、1935 年のことだそうだ。彼女は、2の3乗根について、本質的に私の折り方と同じ折り方を発表しているという。

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二〇〇五年 霜月 十六日 水曜日

19世紀ヨーロッパの折り紙

折紙探偵団名古屋コンベンションで、フレーベルの折り紙: 19世紀の幼児教育における折り紙の実践と題して講義をした。去年学芸大学でおこなった講義の短縮版だったのだが、今回あらためて Kraus-Boelte, Maria and Kraus, John The Kindergarden Guide (1877) Vol. 2 The Occupations の復刻版を読んでいたら、面白いことに気がついた。

まず、折り方が紹介されている作品を実際に折ってみると、畳まれている紙をひっくり返したり引き出したりする工程がいくつかあって、市販の折り紙用紙で破れないように折るのはとても難しい。おそらく当時は、現在の折り紙用紙よりも質の良い紙を使っていたのだろう。

折り紙用紙といえば、この復刻版の巻末に、1896年の幼稚園用具のカタログ Steiger's Kindergarten Catalogue が収録されており、ここに折り紙用紙が含まれている。4インチ四方の正方形が最も一般的だったようだが、長方形や三角形、円形の紙も販売されていた。4インチ四方の単色折り紙は、100枚組みが155色もそろっている。このカタログは第6版だから、折り紙用紙がアメリカで市販されたのは、もう少し前にさかのぼるだろう。

また、この本に Chinese Junk として掲載されている作品は、日本の宝船に似ているが、重要な違いがある。宝船は、はじめに座布団折りをしてから風車基本形を作り、そこから折ってゆくが、Chinese Junk は、座布団折りをせずに、風車基本形から作る。この Chinese Junk は、私はこれまで見たことがなかった。なお、この本には宝船に似た作品もあって、Gondola と呼ばれている。

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二〇〇五年 霜月 九日 水曜日

Web 2.0 がうまくいくとは限らない?

久しぶりに Wikipedia の折り紙の項目を見ていたら、突っ込みを入れたくなる記述が増えている。折り紙韓国起源説に反論する目的があったのかと邪推するが、事実無根の記述をしては、反論にならないだろうに。

今は折紙探偵団の翻訳やら名古屋コンベンションの準備やらで忙しいのだが、時間ができたら編集するつもり。

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