二〇〇八年 葉月 廿九日 金曜日■ サントリーホール国際作曲委嘱シリーズNo.32(管弦楽) [/music]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 今回のテーマ作曲家はステファーノ・ジェルヴァゾーニ。3年前の同じシリーズで、サルヴァトーレ・シャリーノが、注目している若い作曲家として紹介していた。そのときは私も聞いて、「注目すべき作曲家だと思う」と書いたが、今回演奏された最近作はさらにすばらしかった。演奏は杉山洋一指揮、東京交響楽団。 ジェルヴァゾーニの曲は、1曲目の「イーレネ・シュティンメ」(2006・日本初演) と4曲目の「ルコネサンス」(2008・世界初演)。どちらの題名にも複数の意味が重ねられており、音楽も同様に重層的だ。楽器の組み合わせ、奏法の組み合わせが次々に変わり、あらゆる瞬間に新しい響きが生まれるが、決して過度に複雑にならず、全体のまとまりも失われない。 1曲目はピアノと管弦楽のための作品だが、打楽器の使い方が秀逸だった。ところが4曲目では、打楽器を一切用いていない。それでも、要所に特殊奏法を使い、オーケストラから今まで聞いたことのない響きを引き出していた。 ジェルヴァゾーニの曲があまりにすばらしいので、2曲目のクレール=メラニー・シニュベール「クロニーク」(2008・世界初演) と3曲目のニッコロ・カスティリオーニ「冬−ふ・ゆ」(1972・日本初演) はかすんでいた。どちらも、オーケストレーションに不満を感じた。室内楽で演奏したほうがよいのではないかとすら思った。 |
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