二〇〇七年 水無月 十二日 火曜日■ コンポージアム2007「武満徹作曲賞本選演奏会」@ 東京オペラシティコンサートホール [/music]この記事は書かれてから1年以上経過しています。内容が古くなっている可能性があります。コメントの受付は終了しました。 2007年5月27日に開催された。私は生で聞いたのだが、その後忙しくて感想を書かなかった。6月3日と10日に NHK FM で放送され、それを聞いて記憶を新たにしたので、感想を書いておく。演奏は岩村力指揮東京フィルハーモニー交響楽団。 最初の曲はファン・マンの「アクア」。冒頭、この世のものではない響きで始まり、その後も終始幻想的な音景が続く。魅力的な作品だが、あまりに多くのことを一曲につめ込もうとして、やや焦点がぼやけてしまった印象があった。審査員の西村朗がつけた順位は第3位、私が勝手につけた順位は第2位。副題に「武満徹の追憶に」とあるが、武満の音楽を直接想起させることはない。むしろ、2曲目のウー・イーミン「夢の回想」は武満の亜流だと感じた。美しい曲ではあるが、武満トーンそのものだ。西村の順位は第3位、私の順位は選外。 3曲目はヨーナス・ヴァールフリードソンの「戦場に美しき蝶が舞いのぼる」。ワンゲチ・ムトゥの同名の絵画に基づいているそうだ。響きの色彩が豊かだが、余計な音がまったくなく、透明で澄みきっている。西村の順位は第3位、私の順位は第1位。4曲目はアンドレア・ポルテラの「キューブ」。このタイトルは、立方体の6つの面と、人生の6つの場面とを重ね合わせている。タイトルから、6つの部分が大きな変化を見せる作品を想像したのだが、実際には精妙な作品で、個人的には拍子抜けしてしまった。面白い響きが随所にあったが、全体としてとらえどころがないように感じた。西村の順位は第2位、私の順位は第3位。 最後の曲は植田彰の「ネバー・スタンド・ビハインド・ミー」。タイトルからしても、またプログラムノートを読んでも、「ゴルゴ13」を念頭において作曲されたもののようだ。そのこと自体は悪いことではないのだろうが、劇画的というよりは漫画的に聞こえるところが多々あり、作品の品格を損ねていたように思う。演奏家が足を踏みならす、声を発する、プラスチックチューブを振り回すといった効果は、それ自体は新しいものではないし、すべてに必然性が感じられたわけでもなかった。西村の順位は第1位、私の順位は選外。 |
カテゴリ
[/language] (98) 最新記事
◇ パスワードについてのあなたの常識はもはや非常識かもしれない・その1 [/links] |