二〇〇九年 皐月 十二日 火曜日■ 折り紙の作図再考・その1 [/origami]折紙探偵団関西コンベンションで、川崎敏和さんが、球面折紙作図の公理系について発表した。 平面上の折り紙作図公理については、藤田、ジュスタン、ラング、そして私によって、以下のような8つの公理としてまとめられている。 0. 直線 a と直線 b の交点に点 X を置く。 1. 直線 a と直線 b を合わせて直線 x を折る。 2. 点 A と点 B を合わせて直線 x を折る。 3. 点 A と点 B を通る直線 x を折る。 4. 点 A を通り直線 b に垂直な直線 x を折る。 5. 点 A を直線 l に合わせ、点 B を通る直線 x を折る。 6. 点 A を直線 l に合わせ、直線 b に垂直な直線 x を折る。 7. 点 A を直線 l に合わせ、点 B を直線 m に合わせる直線 x を折る。 この長いリストを見ると、もう少し何とかなるのではないかという気になる。私もいろいろやってみたことがあるが、川崎さんは、これを球面に移してみた。 球面上の直線は大円である。地球で言えば、たとえばすべての経線や赤道が直線である。ここで、球面上の点を、球の対極にある2点のペアと定義する。地球で言えば、北極点と南極点をあわせて1つの点と考える。そして、赤道と北極・南極点を対応させると、球面上の直線と点が1対1に対応する。この対応関係を「双対」という。 球面上の点をアルファベットの大文字で、その双対である直線を対応する小文字で書くことにする。図を描いてみると、点 A が直線 l 上にあることと、点 L が直線 a 上にあることとが同値であることが分かる。集合の記号を使うと A ∈ l ⇔ L ∈ a と書ける。また、l と m が垂直であることは、L ∈ m および M ∈ l と同値であることが分かる。 直線 x で折ったときに点 A が点 B に重なるということを xA = B と書くことにする。同様に、直線 x で折ったときに直線 l が直線 m に重なることを xl = m と書くことにする。当然、xA = B ⇔ A = xB であり、xxA = A である。 直線 x があれば、その双対である点 X が存在する。実は、x で折ることと、X を中心として180度回転することとが、結果としてまったく同じ操作になる。つまり、点 X を中心として180度回転したときに点 A が点 B に重なることを XA = B と書くと、xA = B ⇔ XA = B であり、xl = m ⇔ Xl = m である。これと双対の関係から、xA = B ⇔ xa = b であることも分かる。 以上を利用すると、8つの公理は次のように記号化できる。 0. X ∈ a, X ∈ b ⇔ A ∈ x, B ∈ x 1. xa = b ⇔ xA = B 2. xA = B 3. A ∈ x, B ∈ x 4. A ∈ x, B ∈ x 5. xA ∈ l, B ∈ x 6. xA ∈ l, B ∈ x 7. xA ∈ l, xB ∈ m すると、0と3と4、1と2、5と6がそれぞれ同一であることが分かる。結局、球面折紙作図の公理は以下の4つとなる。 I. xA = B II. A ∈ x, B ∈ x III. xA ∈ l, B ∈ x IV. xA ∈ l, xB ∈ m ここまでが川崎さんの講義の内容だが、これをさらに展開することができるように思う。それについては後ほど。 |