blog.鶯梭庵

二〇一〇年 如月 四日 木曜日

iPad 発表の場で McGraw-Hill が言及されなかった理由 [/mac]

Apple の秘密主義はつとに有名だ。パートナー企業に対しても厳しい箝口令を敷き、それを犯せば制裁を受ける。竹内一正著『スティーブ・ジョブズ 神の交渉力』にも事例が紹介されているが、先週の iPad の発表でも同じことが起きた。

iPad の目玉機能の1つは iBooks という電子書籍リーダーで、発表イベントでは、コンテンツの提供元として、HarperCollins Publishers、Hachette、Penguin Books、Macmillan Publishers、Simon & Shuster の名前が挙がった。しかし、イベント前日のテレビ番組で、McGraw-Hill の CEO が、同社が Apple にコンテンツを提供すると言っていたのではなかったか。

Apple は、iTunes U で教材を提供するなど、教育市場に力を入れている。McGraw-Hill は教育関連書籍の大手で、電子コンテンツも多くかかえている。

iPad 発表のイベントで McGraw-Hill の名前が挙らなかった理由は、公表されてはいないが、明白だ。まさに、Terry McGraw 氏が、Apple が発表する前にタブレット製品の存在を明かしてしまったことが、Steve Jobs 氏の逆鱗に触れたのだ。

おそらく、iPad 発表のプレゼンでは McGraw-Hill がパートナーとして紹介される予定だったはずだし、CEO なり誰かがゲストとして呼ばれていたかもしれない。しかし、情報漏洩に対する制裁として、McGraw-Hill は急遽プレゼンから消され、iPad にとって重要なコンテンツであるはずの教科書は意図的に無視された。

iBookstore が運営を開始するときには、McGraw-Hill の書籍ははずされるかもしれない。しかし、教科書というのは大きな市場だから、米国で新学期がはじまる 9 月までには McGraw-Hill も赦されることだろう。

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羽鳥 公士郎