二〇一二年 如月 廿二日 水曜日■ 検察の「暴走」・その2 [/links]その1から続く 実際には、検察が権力の意向を受けて動くということは、それ以前からあった。この本で最初に取り上げられている鈴木宗男事件もその1つだ。2002年、当時衆議院議員であった鈴木宗男氏に数々の疑惑が取りざたされた。「風」が吹いて、多くの国民が鈴木氏を悪人だと信じ込んだ。しかし、実際には、検察はその疑惑のほとんどを立件できず、2件の収賄罪などで逮捕・起訴するにとどまった。その金額はそれぞれ500万円と600万円であり、現職の国会議員を逮捕するにしてはいかにも少ないが、それにもまして、これらは「表の金」である。つまり、政治資金報告書にも記載されている正当な政治献金である。本来であれば、そもそも事件になるようなことではなかった。 では、なぜ鈴木氏が起訴され、しかも有罪となってしまったか(この本が出版されたときには、鈴木氏は最高裁に上告していたが、後に上告は棄却されて有罪が確定した)。法廷戦術の上でいうと、贈賄罪と収賄罪の時効が異なることがうまく使われた。この事件では、贈賄側の時効は成立しており、収賄側だけが残っていた。贈賄側は、検察が望む通りの供述をしたところで、処罰されるおそれはない。だから検察は、自分たちが書いた筋書き通りの完璧な調書を作ることができた。そして日本の裁判所は何よりも検察の調書を信用するから、鈴木氏に勝ち目はない。 鈴木氏を狙った張本人は、鈴木氏によると、当時の小泉政権の官邸だったという。小泉政権で外務大臣となった田中眞紀子氏は、対米従属派が強い外務省と対立が目立った。しかし、国民の人気が高い田中氏をすぐに辞めさせることはできない。そこで、親露の鈴木氏と親中の田中氏を闘わせ、どちらも追放しようととしたのだという。 三井は、それに加えて、検察の裏金から国民の目をそらすために鈴木氏が利用されたという見方をしている。権力にとって都合の悪い政治家にカネの疑惑をかぶせて追放するというのは、ロッキード事件の田中角栄氏を先頭に多くの事例があるが、鈴木宗男事件は表の金が立件されたという点で確かに異例だ。後に小沢一郎氏も表の金で起訴されることになるが、それはこの本の第4章で取り上げられる。 その3へ続く。 |
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