blog.鶯梭庵

二〇〇八年 神無月 五日 日曜日

リアリティ無き若者論 [/links]

後藤和智著『おまえが若者を語るな!』を読んだ。

「まったく、今の若者は・・・」という物言いはいつの時代にも絶えないものだが、宮台真司、香山リカ、東浩紀といった人たちの言説もまたそのような「床屋談義」にすぎないと後藤は指摘する。私も彼らの本を何冊か読んだが、まったくリアリティを感じなかった。それは、後藤が指摘するように、実証に基づいておらず、自分の身の回りから適当に選んできた事例か、やじ馬根性丸出しのマスメディアが取り上げる「事件」を基にして論考しているからだ。

それが、仲間内の「言葉遊び」に終始しているならばよいのだが、政策に影響を持つようになると、困ったことになる。たとえば、ワーキングプアに代表される格差問題が、世代論に矮小化され、さらに若者の内面に問題があるというように議論がすり替えられてしまう。あるいは、小泉自民党の歴史的大勝の原因も、ワールドカップで「ニッポン」と叫ぶ若者にすり替えられてしまう。その結果、現状の権力構造の歪みが不問に付され、本来の「ポストモダン」論が持っているはずの、権力に対する批判力が損なわれることになる。

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羽鳥 公士郎