二〇一〇年 弥生 七日 日曜日■ 折り紙の作図再考・その6 [/origami]その4の改訂版 球面上では、点と直線とのあいだに双対関係を定めることができる。すると、A ∈ l ⇔ L ∈ a、l ⊥ m ⇔ L ∈ m、xl = m ⇔ Xl = m などの関係が成り立ち、球面上の折り紙作図の公理は4つにまとめることができる。 平面に無限遠点を足すと、球面を射影することができ、これらの関係はそのまま成り立つ。 無限遠点のない、通常のユークリッド平面でも、A ∈ l ⇔ L ∈ a という関係が成り立つように、点と直線との双対関係を定めることができる。しかし、この場合は、l ⊥ m ⇔ L ∈ m、xl = m ⇔ Xl = m などの関係は成り立たない。 したがって、平面上の折り紙作図の公理を8つよりも少なくまとめようと思えば、球面上で成り立つ双対関係を使うことはできない。 私は、平面上の折り紙作図公理は2つにまとめられると考えている。あらためて、8つの公理を書き出してみよう。 0. X ∈ l, X ∈ m 1. xl = m 2. xA = B 3. A ∈ x, B ∈ x 4. A ∈ x, l ⊥ x 5. xA ∈ l, B ∈ x 6. xA ∈ l, m ⊥ x 7. xA ∈ l, xB ∈ m ここで、7 の折り方の特殊な場合として、A ∈ m, B ∈ l が成り立っているとすると、xl = m ∪ xA = B が言える(証明)。したがって、1 と 2 の折り方は 7 の折り方の特殊な場合になっている。 さて、やはり 7 の折り方の特殊な場合として、B ∈ m が成り立っている場合を考えてみる。平面上で、m と x との交点から B までの距離を r として、m と x のなす角をθとすると、xB と m との距離は r sin2θと表せる。xB ∈ m ということは、r sin2θ = 0 ということだから、r = 0 ∪ sin2θ = 0 であるが、x ≠ m とすると、0 < θ < π としてよいので、r = 0 ∪ θ = π/2 すなわち B ∈ x ∪ m ⊥ x ということになる。これを xA ∈ l と組み合わせれば、5 と 6 が 7 の特殊な場合であることが分かる。同様にして、3 と 4 も 7 の特殊な場合であることが分かる。 そうしてみると、平面上の折り紙作図公理は次の2つとなる。 I. X ∈ l, X ∈ m II. xA ∈ l, xB ∈ m さて、球面ではどうなるだろうか。実際のところ、球面上の折り紙による作図で用いることのできる折り方には、平面の7つに加えて、「2本の直線があるとき、両方の直線に垂直な直線を折る」というのがあるので、公理は9つとなる。 いずれにせよ、双対を使えば、公理はその1で述べたように4つとなる。しかし、せっかく双対の概念を使うのだから、点のみの記述、または直線のみの記述にするべきだろう。 I. XA = B II. A ⊥ X, B ⊥ X III. XA ⊥ B, C ⊥ X IV. XA ⊥ B, XC ⊥ D または I. xa = b II. a ⊥ x, b ⊥ x III. xa ⊥ b, c ⊥ x IV. xa ⊥ b, xc ⊥ d 私の予想では、球面でも平面と同じように考えて、これらの公理を XA ⊥ B, XC ⊥ D または xa ⊥ b, xc ⊥ d の1つだけにまとめることができるだろう。 [この記事だけを読む。] [この記事にコメントを書く。] [このカテゴリをまとめて読む。] 二〇一〇年 如月 廿四日 水曜日■ 「アクセル」の語源 [/language]現在バンクーバー冬季オリンピックが開催されており、フィギュアスケートでトリプルアクセルがどうのと話題になっている。この「アクセル」は英語でも axel と言うが、1 回転半ジャンプをはじめた 19 世紀ノルウェーのフィギュアスケート選手 Axel Paulsen に由来している。 一方、自動車のアクセルは、英語の accelerator を縮めた和製英語だ。ただし、米国ではアクセルのことを accelerator と言うよりも gas pedal と言うことが多い。 ややこしいことに、自動車には axle という部品もある。これは「車軸」という意味だ。日本語のできない英語圏の人と話していて、accel- と言うつもりで「アクセル」と言うと、ほぼ間違いなく「車軸」の意味にとられるだろう。 [この記事だけを読む。] [この記事にコメントを書く。] [このカテゴリをまとめて読む。] 二〇一〇年 如月 廿三日 火曜日■ MacTeX と Drag & Drop pTeX で用紙サイズを変更する方法 [/mac]日本折紙学会の会員向け配布資料を執筆している。数式が多いため、TeX を使ってみることにした。 Mac OS X 用の TeX パッケージには、MacTeX という便利なものがあって、簡単にインストールできるが、これだけでは日本語が扱えない。Drag & Drop pTeX をインストールすると、日本語が使えるようになる。TeXで日本語文書作成にインストールと設定の方法が詳しく書かれている。 さて、資料は B5 の用紙に印刷する。ソースの冒頭に次のように書くと、B5 サイズに合わせてレイアウトされる。
ところが、TeXShop から PDF を作成してみると、用紙サイズが A4 になってしまう。文字の範囲が B5 用紙に合わせて小さくなるだけで、A4 の用紙の右と下に大きな余白が空いたものが出力される。 この理由を調べてみたところ、実際に PDF を生成しているのは、TeXShop アプリケーションではなく、pTeX パッケージに含まれる dvipdfmx ユーティリティであることが分かった。TeXShop は dvipdfmx にコマンドを渡して処理をさせているので、そのコマンドでも用紙サイズを指定する必要がある。 それには、ターミナルから dvipdfmx を直接呼び出すという方法もあるが、私は TeX 初心者なので、何度も PDF に書き出して出力結果を確かめながらソースを書きたい。何度も同じ操作を繰り返すのは好ましくない。そこで、次のような方法をとっている。 まず、Finder で pTeX のアイコンを右クリックして「パッケージの内容を表示」を選択する。pTeX パッケージの内容が表示されるので、teTeX フォルダを開き、その中の bin フォルダを開く。 dotexshop というファイルがあるので、「ファイル」メニューから「複製」を選んで複製し、新しいファイルの名前を適当に変更する。たとえば dotexshop-b5 とする。 新しいファイルを右クリックし、「このアプリケーションで開く」「その他」を選択し、お好きなテキストエディタ(「テキストエディット」でもよい)を選択して、「開く」をクリックする。 一番最後の行が
となっているので、これを
に変更し、ファイルを保存して閉じる。 TeXShop の「TeXShop」メニューから「環境設定」を選択し、「詳細」パネルを表示する。「パーソナルスクリプト」の中の「LaTeXプログラム」欄に、先ほど変更したファイルの名前(たとえば dotexshop-b5)を入力し、「OK」をクリックする。 TeXShop の「タイプセット」メニューで、「パーソナルスクリプト」を選択する。これで、PDF が B5 の大きさで作成される。 こうすると、「タイプセット」メニューで「TeX + DVI」にチェックが入っているときは A4 サイズ、「パーソナルスクリプト」にチェックが入っているときは B5 サイズというように切り替えができる。 なお、もっと細かい設定が必要な場合は、pTeX/UpTeX.app + TeXShopでshell-escapeを使うを参考にするとよい。 [この記事だけを読む。] [この記事にコメントを書く。] [このカテゴリをまとめて読む。] 二〇一〇年 如月 十三日 土曜日■ 折り紙の作図再考・その5 [/origami]
だいぶ前のことだが、その4で、「7 の折り方(xA ∈ l, xB ∈ m)の特殊な場合として、A ∈ m, B ∈ l が成り立っているとすると、xl = m ∪ xA = B が言える」と書いた。そのときは、「証明しなければならない気がしてくる」と書いたくせに、証明しなかった。実際にやってみたところ、初等幾何だけで証明できたので、概略を記しておく。 xA ∈ l, xB ∈ m, A ∈ m, B ∈ l の4つの条件が成り立っていると仮定したとき、xl = m ∪ xA = B であることを証明する。 m と l の交点を O とする。A ∈ l や B ∈ m が成り立つ場合はその4ですでに考慮したので、そのような場合を除外すると、A ≠ O, B ≠ O がいえる。 さて、x は、O を通るか通らないかのどちらかだ。x が O を通らない場合、xm ≠ l であり、xl ≠ m である。仮定より、xA ∈ l であり、xA ∈ xm であるから、xA は l と xm の交点である。同様に、xB は m と xl の交点である。m と x との交点を P とし、l と x との交点を Q とすると、x に対する対称性から、三角形 xAPQ と xBPQ が合同であることが証明でき、xxA = xB が証明できる。これはすなわち、xA = B だ。 一方、x が O を通る場合、x は線分 AxA の垂直二等分線であるから、x が角 xAOA の二等分線であることが証明できる。これはすなわち、xl = m だ。以上、証明終わり。 さて、この証明はユークリッド幾何を前提としているので、これが球面でも成り立つかどうかは自明ではない。球面では別に考える必要がありそうだ。 [この記事だけを読む。] [この記事にコメントを書く。] [このカテゴリをまとめて読む。] 二〇一〇年 如月 四日 木曜日■ iPad 発表の場で McGraw-Hill が言及されなかった理由 [/mac]Apple の秘密主義はつとに有名だ。パートナー企業に対しても厳しい箝口令を敷き、それを犯せば制裁を受ける。竹内一正著『スティーブ・ジョブズ 神の交渉力 iPad の目玉機能の1つは iBooks という電子書籍リーダーで、発表イベントでは、コンテンツの提供元として、HarperCollins Publishers、Hachette、Penguin Books、Macmillan Publishers、Simon & Shuster の名前が挙がった。しかし、イベント前日のテレビ番組で、McGraw-Hill の CEO が、同社が Apple にコンテンツを提供すると言っていたのではなかったか。 Apple は、iTunes U で教材を提供するなど、教育市場に力を入れている。McGraw-Hill は教育関連書籍の大手で、電子コンテンツも多くかかえている。 iPad 発表のイベントで McGraw-Hill の名前が挙らなかった理由は、公表されてはいないが、明白だ。まさに、Terry McGraw 氏が、Apple が発表する前にタブレット製品の存在を明かしてしまったことが、Steve Jobs 氏の逆鱗に触れたのだ。 おそらく、iPad 発表のプレゼンでは McGraw-Hill がパートナーとして紹介される予定だったはずだし、CEO なり誰かがゲストとして呼ばれていたかもしれない。しかし、情報漏洩に対する制裁として、McGraw-Hill は急遽プレゼンから消され、iPad にとって重要なコンテンツであるはずの教科書は意図的に無視された。 iBookstore が運営を開始するときには、McGraw-Hill の書籍ははずされるかもしれない。しかし、教科書というのは大きな市場だから、米国で新学期がはじまる 9 月までには McGraw-Hill も赦されることだろう。 |
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